2022-01-01から1年間の記事一覧

「思弁的人類学」を構想していく上で

最近は言語学と社会学、人類学の文献も読み合わせています。僕が構想する「認識論」は、どちらかというと、そのような学術背景を踏まえたマクロなものだと思います。 故に、このアプローチを、一旦ではありますが「思弁的人類学(Speculative Anthropogy)」…

最近の読書への考え方

- 「古典」に位置付けられる本を読むこと(一次文献というべきか)に価値が大きくあるのは変わりない。解説書や副読本、いわゆる二次文献は本質的に「二次的」なものでしかないことを念頭に置いて読む。原則、テキストを自分で極力読めるようになることに意…

哲学を実践する生を送るために

将来のことを今考えても、所詮取らぬ狸の皮算用でしかない。だが、ひとまずは博士までなんとしてでも行く。問題なのはその後。今後も終生アカデミアの世界の人間として留まるか、それとも何かしら社会で生きる術見つけながら「在野」の人間として研究の成果…

「病んでいること」の認識論:これからのメンタルヘルス・リテラシーのために

前置き 3月は厚生省にて自殺対策強化月間とされているもあり、今回は精神疾患の観点からその啓発につながれば、と思い以下の文章を書きまとめました。非常に長いものとなってしまいましたが、ご拝覧のほど願えればと思います。 * 1. 精神疾患というタブー …

On photograph from my point of view

I always come back to this picture every time I plumb down to a detrimental state of mind, because it reminds me of the fact I could genuinely smile. Bizarre as it may sound, I forgot how to smile from the bottom of my heart in these two d…

精神医療の哲学:原案

あいも変わらず、哲学系の書籍を始め医学系や言語学系の書籍を読み続けています。以下の3指標を以て僕が考える「精神医療の哲学」(Philosophy of Psychiatry)における問題意識の主たる基軸とします。 ・臨床的基礎付け主義(Clinical Foundationalism):…

現地からフランス書を注文したときのこと

1. Pensée formelle et sciences de l'homme par Granger, Gilles-Gaston. 2. Nécessite ou Contingence : L'aporie de Diodore et les systèmes philosophiquespar Vuillemin, Jules この2冊をリーズナブルな価格で提供している古書店がフランスにあったの…

「資本」の社会学:ソーシャル・キャピタルの多様化に伴う「資本の順序化」について

1. 社会=生命資本 一部の外国人(あるいは「非日本人」)が犯罪行為を犯して、それがパターン化されたとき、警察の中である種のバイアスが生じるのは必然的だとする。それを鑑みると、警察を現地人の生活を守る国家権力としたら外国人はある意味(彼らの視点…

専門知の「世界化」

学際的という言葉はしばしば英語で、interdisciplinaryと訳される。これに別の言い方を充てるとすれば、「相互規律的」(inter-disciplinary) となるだろう。なぜなら、そうすることによって、学問は各領域の固有性 (les caractères vernaculaires dans chaqu…

神保町語り歩き

先日、神保町にて昨年の洋書まつりを通して知り合った男性と古書店巡りをしました。そんな彼が、後日ブログ記事に僕と対話したことを書きまとめてくださりました。僕としては瑣末な内容を駄弁っていただけだったと思っていたのですが、それでも真摯に耳を傾…

読むこと:「来たる知識」に常に備えるために

哲学、また人文・社会科学において多読すること、あるいは文章に自分を慣らす経験値が高いことの必要性はれっきとした事実である。とはいえ、そのように定量的に蓄積した成果としての「知識」(knowledge)だけでは、心許ないように思える。なぜなら、「知っ…

読みたい本リスト

認識論の勉強のついでに、そしてその余暇で読めたらいいなと思う本を並べてみただけ。 ✳︎ 1. Linguistique historique et linguistique générale(Antoine Meillet)2. Language and other abstract objects(Jerrold J. Katz)3. La notion de nombre chez …

ノマドロジー的認識論:基本的な構想、及びその発展性について

【「ノマドロジー的認識論」とは何か】 【〈映画的な〉眼差し】 【世界、あるいは〈イメージ〉の総体】 【終わりに】 【「ノマドロジー的認識論」とは何か】 『でも日本では「外国人だからこうだ」というキャラクターで理解して、その先の一人ひとりの違いを…

「眼差しの格差」:オリ・パラの事例を通して

オリンピック・パラリンピック(以下オリ・パラと略)の気味悪さは気のせいだろうか。私が思うに、オリ・パラの実態は以下の通りだ。健常者による障害者の「他者化」が儀式的に執り成されてる場としてのパラリンピック。そこは身体障害をスペクタクル化し、…

「メリー・クリスマス」という言葉の冷酷さ

メリー・クリスマス。この言葉をかけようとするたびに違和感を覚えたり、どこか突っかかりを感じてしまう。思わず言ってしまったら、僕の心の中にそのしこりがより凝り固まった形で残ってしまう。以下、その残滓の実相はなにかについて述べていく。 言わずも…

成長:「原本」が欠けた、「キャッチ・コピー」

「成長とは何か」という問いに答える前に、いつしか「自分/相手は成長しているのか」、「どのように成長するか」という問いが先行してしまっている。根源的な問いの解がない上で、成長を語るにも限界があると思われる。そのように考えている中、ジブリの宮崎…

世界:(ィンター・ネット∽社会)∈(人間/技術)

1. テクノロジーが個人の主体性、存在様式から有機的な人間関係までも支配する今、SNSという無線網と、人間が弁証法的な「抗争」に置かれている。つまり、私たちの一つ一つの主体的な経験が、オンラインの投稿という形で電子記号化されていくことは、「主た…

自然と文明の相克

1. 人間社会、あるいは絶対的な「王権制」 時間通りに学校・職場に行かなければ。日頃の労働を支える交通インフラ。お腹が空いたら、ご飯を作りたい。そんな時に消費する電力や水道システム。暇だ、何か映画でも見ようか、それとも音楽に浸ろうか。そのよう…

認識論を広めていくために何を考えるべきか

僕「哲学をこれからやりたいんだー」友「そりゃな〜。どういう哲学?」僕「(省略)科学とか合理性のあり方に焦点を当てようかなと」友「うんうん」僕「そんで科学哲学の研究室で認識論をやろうと考えてる」友「ふぁ?科学??哲学??認識論???」*という話の展開…

「享楽としてのいじめ」理論の可能性

今でも、僕の心の中では入学してから卒業するまで6年間続いた小学校時代のいじめのトラウマが残り続けている。それが今でもぼくに悪影響を与え続けている。このように、精神分析を通していじめを理解する際に若干の恐怖心はあったものの、いざ文字に書き起…

'The Metamorphosis', or an Allegorical Story of Moral Dilemma

"My dear parents," said his sister, slapping her hands on the table by way of introduction, "things can't go on like this. Perhaps you don't realize that, but I do. I won't utter my brother's name in the presence of this creature, and so a…

規律と自由:「個」と「全体」の抗争

僕の思弁的世界を、一義的な「グローバル」や「ローカル」で形容することができない。それらはある意味「固形化された主体」の根源だから。いうなれば、それはもっと不定形で「液状化した主体」が常に浮揚する場である。だからか、「和」の共同体、あるいは…

認識論へのさらなる目覚め

新年明けましておめでとうございます。改めて、僕はいつもと変わらないごく普通の日常的な一日を過ごしています。 院試まであと7ヶ月、色々やることもさながら準備すべきことも山積しています。そんな僕は、これからは科学哲学を専門にしつつ、学際的なアプ…