精神医療の哲学:原案


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あいも変わらず、哲学系の書籍を始め医学系や言語学系の書籍を読み続けています。以下の3指標を以て僕が考える「精神医療の哲学」(Philosophy of Psychiatry)における問題意識の主たる基軸とします。

・臨床的基礎付け主義(Clinical Foundationalism):「患者」に対して「医者」が圧倒的に優位な立場にいるような力関係が治療の根底概念として定着していること。

・生政治的意味論(Biopolitical Semantics):自己と他者の存在論的差異を「適合しうる者」と「適合し得ない者」の両極性に翻訳することによって、「健常者=生きる自由/異常者=死ぬ定め」という解釈の定式を確立する言語資本。

・功利的認識論(Libertarian Epistemology)社会に内在する既存の言説・エピステーメーが「患者」の存在様式を否定的に定義することで、健常者が彼らをタブー視することを正当化することから、「排除はしょうがない」とする社会意識が形成されること。全体(多数派)の健康を第一に追求すべきで、一部の異常者(少数派)の公益性を捨象する社会意識の形態。

これらの諸概念をより精緻に理論化しつつ、それに付随する問題意識をもとに「正常化作用」(Normalisation Effect)と「病理の構造化」(Structuration of Pathology)の仕組みを研究する予定です。以前より、だいぶ研究計画も解明度が上がったかと思われます。また、精神疾患を巡る哲学探究はこれからの進展性に満ち溢れた学問分野だと思います。もっと原案の推敲や、アイデアの反芻を重ねる中で、より解明度を上げて系統化したいです。