アンレビュード・レビュー:Andre 3000のソロ作のリリースを慶賀して

Andre 3000. かつて米国で一斉を風靡したヒップホップのデュオ、アウトキャストOutkast)の片割れとして活躍していたアーティストである。かのエミネムも、彼をトップ5のリリシスト(詩的な歌詞を紡ぎ出すラッパー)として尊敬している。

そんなAndre 3000が、日本時間の深夜に初めてのソロ・新作をリリースした。2006年に最後のアウトキャストのアルバムをリリースして17年経ったタイミングで日の目を見ることになった。しかし、ここでは一切ラップを披露していない。一時間にわたり、アンドレが奏でたいように奏でる音。あらゆる柵から解き放たれ、自由を謳歌し空を飛ぶ鳥のなびく羽のような流れ。

最新のGQインタビューでも彼は語る。「俺自身が最良で最悪な批評家なんだ。だから、俺は自分が感じていることに取り組んでいる。なぜなら、感情は自分がいまやっていることのバロメーターだからさ」。そんな彼だからこそ、時間の流れや、彼が取り組む音楽のトレンドに囚われることなく、自分がわくわくするような至福に満ちた音を奏でることができたのだと思う。

 

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そんな彼の生き様、クリエイティブな精神には、鼓舞されるものがある。僕の場合は研究だが、今の時期だと専ら「俺はこれを世に知らせたい!」、「この使命を果たす必要がある」といったような(ある種の)邪な思惑が淀めく中で臨んでしまっている部分がある。しかし、この営みを続けていく中で、自分にとって幸せを感じられるような研究の姿とは何になるのか?については模索し続けたい。