そういえば昨晩、とても奇妙な夢を見た。
街の中を歩いていた僕は、数年前まで親しかった女友だちと偶然出くわす。最後会ってから、あまりにもながい月日が経っていた。
しかし、目の前にいるのはかつて親しく談笑していた彼女に違いない。どうやら向こうも僕の顔を認識するのにそこまで時間はかからなかったようだ。
どこか、心が熱る思いがして、声をかけようとした。ところが、彼女の表情は険しい。むしろ、その眼には、泪を湛えている。
すると、口を開いた。
「なんで私の結婚式に来てくれなかったの?送った手紙に案内も入れたのに!」
その場で激しく泣き崩れた彼女は、我を忘れたかのようだった。僕はただ、わけも分からず呆然として立っているだけだった。
とはいえ、心当たりはどう思い返してもないのだ。却って、そもそも存在しないはずの「手紙」がなおさら気になる。
少なくとも、僕はその日に至るまで彼女から頼りを一通も受け取っていない。とはいえど、彼女はそれを結婚式の招待状込みで送ったという。
なおさら、取り付く島もない状況である。ただわかるのは、その「手紙」の誤配が彼女との関係に決定的な一打を与えたことだけだ。考えれば、考えるほどに奇妙だ。それどころか、わけも分からずもどかしい。
あまりにも、奇怪な夢出会ったがために、鮮明に覚えている。彼女とはもうだいぶ疎遠になって音沙汰もなくなったから分からない。今頃どうしてるんだろう。
今もなぜか後ろめたさ、というか謎の悲壮感に包まれている。色々よく分からないシチュエーションだった。それでも、未だに僕の心は彼女が送った(とされる)手紙の在り処を探し求めている。