英語

 「あいつら(=日本人)の苦手とするもので、圧倒的に差をつける」。「帰国子女だったとしても、そいつらに負けない」。そんな意気で身を粉にして続けてきたのが、英語の勉強。言うまでもなく、不純な動機である。結果は確かについてきた。手応えを感じるほどには。だけど、そんな捻くれた感情と他人との比較で自分が充足されるわけがなかった。

 小学校入ってから卒業するまで、クラスでは常にいじめられてばかりだった。当時の僕からすれば、「あいつら」の盲点を呵責なく攻撃できる材料を用意することが、その傷を少しでも早く修復させるための戦略だと考えていたのだろう。

 ところがどっこい。そうする中で、自分の内面に向き合うことが、全くもって抜けていた。それに気づくことなく、齢28となる年。全てがダメになった。お粗末ながらも、やり返すことが動機になると大概しくじるのだな、と今になって学んだ。

 そんな人間が何を書いたって、読み手から正当に評価されること、ましてやその存在自体に見向きされることはないのは当然だった。どのような声にしても、自分自身で清めきれなかった黒胆汁が迸るような尾の引き方をしている。あまりにも醜い。